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秋の読書週間を始めます!その2

図書館、秋の読書週間の第2回目です。
図書館では、学生のみなさんにもっと本に触れ合う時間をもってほしい!という想いから、読書週間を開催することになりました。
本学の教員と職員の推薦する図書をお一人ずつ1週間ごとにお知らせしていきますね。
第2回目は、社会福祉学科 阿部俊彦先生の推薦図書を紹介します。

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司馬遼太郎著 『竜馬がゆく』 1~8巻 文藝春秋 2009年
社会福祉学科 阿部俊彦

坂本竜馬・・・、どのような人なのかを詳しく知らなくても、彼の名前を聞いたことがある人は少なくないと思います。
明治維新には、武士だけではなく、商人や農民など、様々な人たちが直接・間接的にかかわっていました。
坂本竜馬も明治維新に携わった武士の一人です。
皆さんにお勧めする図書は、『竜馬がゆく』(司馬遼太郎著)です。
この本を下敷きにしたドラマは何度かテレビなどで放送されています。
『竜馬がゆく』は19歳の彼が、江戸へ剣術の修行に出るところから始まります。
竜馬は郷士という下級武士の次男坊で、大人になれば生家から独立しなければなりませんでした。
そのため、剣術(剣道)の師匠として生計を立てることを将来の目標としていました。つまり、武士の子どもらに剣術を教えることでお金をもらい、生活するということです。
竜馬が幕末にではなく、江戸時代の中頃に生まれたのであれば、剣術の師匠として生涯を終えたかもしれません。
江戸時代から明治維新に向かう要因の一つは、ペリーの黒船来航(1853年)です。
蒸気船2隻を含んだ艦船、つまり黒船が江戸湾(東京湾)の沖合に姿を現します。
幕府(日本政府)や諸藩はそれに驚き、鎖国か攘夷かで動揺していきます。
それまで江戸幕府は鎖国をし、外国とのやり取りは長崎などごく限られた地域で行われていました。当時の江戸は大騒ぎです。
時代の背景をここまでにし、坂本竜馬に目を向けます。
竜馬は、「幕末の奇蹟」といわれることがありますが、子どもの時代から優れた人物だったのでしょうか。
『竜馬がゆく』を読んでいくと彼の幼少期から10代の様子が分かります。次のように、描かれています(あまり良い表現ではありませんが、原文から引用します)。

愚鈍、薄のろ、気弱、泣き虫、はなたれ、寝小便たれ、あいさつもできない。

寺子屋などの塾の師匠からも「手に負えない」と見放され、竜馬はいわるゆ落ちこぼれでした。
では、どのように人間として成長していったのか?
彼の成長を、みなさんが『竜馬がゆく』を手に取り、少しずつ読み進め、思い描いてください。
竜馬の成長と彼を取り巻く人間たちの思いが、21世紀に生きる私たちにも伝わってきます。
明治維新を成し遂げていった志士の多くは20代です。皆さんと同じ年頃の人たちです。
最後に、明治維新を幕府側でかかわった勝海舟の言葉を記しておきます。
これは落ちこぼれだった竜馬が明治維新の礎を築いたことを意味しています。

薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ。

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阿部先生が推薦された図書『竜馬がゆく』1~8巻 文藝春秋は文庫版で図書館にそろっています。
文庫版はハードカバーに比べて軽いので持ち運ぶにも便利なので、通学中の電車の中でも読みやすいと思います。


1~8巻まであって、ストーリーが長そう・・・と感じてしまいそうですが、ぜひ、この時期の秋の夜長に読書して『竜馬がゆく』を読み終えてくださいね!
それでは、また、来週の推薦図書をお楽しみ・・・