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<令和2年度 第6回 図書館リレーインタヴュー 視能訓練専攻 准教授 桝田浩三先生へのインタヴュー>

※本記事に掲載している書影はすべて出版元の使用許諾のもと使用しています。

こんにちは。 図書館です。
本日は、図書館リレーインタヴュー第6弾をお届けします。

今回は私、医療福祉学科 視能訓練専攻 准教授 桝田浩三が学生の皆さんにお勧め本を紹介したいと思います。

はじめに、見るための眼の機能は眼球のみと思っている人も多いかと思いますが、視機能は実は奥が深いです。
眼は10円硬貨ほどの大きさで、瞼(まぶた)、眼の周りの筋肉、眼球と脳をつなぐ神経、脳で構成され、
この小さな器官から人間がからだの外から受ける情報の80パーセント以上を得ており、生活する上で大変重要な役割を果たしています。
視能訓練専攻の学生に「見えるとは」と質問した場合、眼球から大脳の後部に位置する後頭葉の視中枢までを考える学生が多いですが、
これは刺激つまり視覚の信号が到達するまでの話に過ぎません。
さまざまな視覚刺激(色・形・奥行き・動き)成分が後頭葉で分解され2つの経路に分かれお互いに連携しながら解析処理が行われます。
最終的に統合されて初めて視覚的世界の認識が成立します。見えるを考える上で、重要なことは視覚刺激が脳に到達するのではなく、解析され見たのもが認識されることが重要であることを理解する必要があります。
眼の機能や大脳までの経路が正常であっても、目の前にある物の絵が書けるのに、何だかわからない。
誰だかわからない。文字が書けるのに読めない。視野の一部分がくもって見える。顔の左側のひげだけそり残す。
握手がうまくできない。ボールの動きがわからない。などの視覚に関係する視覚認知障害も視機能に関係し、見るを完成するためには大脳での解析処理も重要となります。

視機能は、眼だけはなく脳を含む全体で考える必要があります。

視能訓練士を目指す学生にお勧めの本。
たくさんの眼科書籍からお勧めするのは3冊。
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入門として、医療情報科学研究所編集「病気がみえる vol.12 眼科」(メディックメディア)を紹介します。
目を知ることが大切で、特に1年次生から繰り返し読んで欲しい本です。
イラストや写真を中心として医学知識を解説している病気がみえるシリーズ12巻で、眼の解剖や検査、眼疾患にいたるまで、
理解しやすいように解説しています。1年次生にとって初めて聞く内容や専門用語に対してすぐにアレルギー反応を起こし、
学習意欲の低下や学習に不安を感じたりすると思います。
初めて学習する内容については、理解することも大切ですが新しい用語や語句を覚えることが重要です。
表や図も見やすくカラーによる説明がたくさん使われているため読みやすいです。
眼科で働く上で最低限の知識はこの本から得ることができると思います。あくまで最低限・・・。
私も時間がある時に繰り返し読んでいます。

次の紹介は、大鹿哲郎編集「眼科プラクティス 6 眼科臨床に必要な解剖生理」(文光堂)です。
一気に難易度が頂点に上がり学生には大変難しいかと思います。
理解が困難な本をなぜ勧めるのかと言うと、眼科で働く上で、眼に関する解剖と生理機能を理解することは基本中の基本です。
実際に学生が読むと難しい専門用語が多く使われ、全くおもしろくないと感じることは十分理解できますが、
お経と思い読破してみてください。
眼に関係することなので最後まで読むと一筋の光が見えてきます。実際には疲労しか感じないと思いますが・・・。
正常機能と異常がどのように発生するかが分かり病態の理解に役立ちます。「なるほどそうなのか」が発見できる本です。

最後に、池田光男、芹澤昌子著「どうして色が見えるのか」(平凡社)です。
色に特化したお話であり、日常の色に関係する話がたくさんでてきます。
色の話ですが、文庫本のため中身は白黒なのである意味おもしろいし、自分で色を想像するのも良いかもしれません。
色覚機能に正常な働きができない人もいますが、基本的に色の認識は全ての人が可能です。
人が眼から入る情報の多くは色を持つ形の情報であり、色の情報が意味深いことがこの本から学べます。

学生にお勧めの本。
「私からお勧めする本はありません」で終わることができないので話を進めます。
学術書や科学誌は読みますが、小説は読まないのでお勧め本がないのが本音です。しかし、たくさん買うジャンルの本はあります。
それは趣味の本です。私は旅行が好きで、これまで多くの国を訪れましたが、その中で一押しは微笑みの国タイです。
前世がタイ人かと思うくらい周波数が合うことからタイに関係する本はたくさん購入し読んでいます。
そこで私からのお勧めは、下川祐治著「週末ちょっとディープなタイ旅」(朝日文庫)です。
下川さんは旅行作家として特にアジアに関するたくさんの本を書いています。年間で旅行に行ける回数に制限があるので、
この本から旅行に行った雰囲気を味わうことができます。
タイ旅行に行ったことがない人も、タイの街の雰囲気やタイ人の気質が分かるのではないかと思います。
本のタイトルでは「ちょっとディープな」とありますが、私からするとディープさは全く感じませんが、
タイに漂う「ゆるさ」を感じることができる本だと思います。

もう一つは、丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究会編集「旅の賢人たちがつくったタイ旅行最強ナビ」(辰巳出版)です。
こちらはかなりディープなタイの話が盛りだくさんです。初めてタイに行く人には参考になりませんが、
私の感想としてはタイの実情が見えてくる内容で、また旅行に行こうと思わせてくれる本です。
私が勧める本は、学生の皆さんにはあまり勧めすることはできませんが、私からのアドバイス。
今、情報を得る手段として、インターネットやYouTubeなどで多くの情報を得ることができます。
特に今回話をした旅行に関する情報は瞬時に得ることができ、映像で仮想旅行体験が可能です。
現実として新型コロナウイルスの影響で旅行には行けませんが、終息した時は国内でも海外でも良いので
自分が行ってみたいところ見つけ、旅行してみてください。
旅行に行く前は、目的地に関する本を読むことで楽しさも膨らむと思います。特に海外はお勧めします。
食べ物、文化、景色など日本と異なる物を経験することは人生を豊かにすると思います。
特に海外旅行はお金もかかるし、楽しいことばかりではなく、時には嫌な思いもするかもしれませんが全てを含めて旅行です。
若くて元気な皆さんには、世界へ羽ばたいて見聞を広めていただきたいです。

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                                        (医療福祉学科 視能訓練専攻 准教授 桝田浩三)