人間科学部 社会福祉学科からのお知らせ

トピックス

現場で活躍しているソーシャルワーカー(相談員)に話を聞きました。

社会福祉学科の1年次生は、2年間かけて相談援助の方法について小クラスでトレーニングを受けます。この科目を「相談援助演習」といいます。
 
「方法」と聞くとノウハウやマニュアルを連想されると思うのですが、ソーシャルワーカーである社会福祉士は相談に来られた方の一人一人異なる相談内容や今後への想いに沿って援助を進めていきますので、一人一人の個別性・多様性をしっかりと尊重するという姿勢が大切です。「方法」は援助者の適切な姿勢と思考に支えられているのです。
 
今回、相談援助演習Ⅱの合同授業でゲスト講師による「Homedoorにおける相談対応の実際」と題する講演を受けまして、援助者の適切な姿勢と思考について皆で考えました。
 

IMG_0806.jpg

NPO法人Homedoorで相談員をしている笠井さん(写真)は、大阪市北区を中心に路上生活を余儀なくされる人が社会生活へ復帰・再出発していくための支援をしています。人権を守ることがソーシャルワーカーの役割の一つであると考え、フットワーク軽く路上や河川敷を回って相談対応されています。制度の枠の中だけで支援を考えるのでなく、それぞれの人に合った援助を探求されています。

NPO法人Homedoorは、ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造をつくることを目的に、6つのチャレンジ「届ける、選択肢を広げる、暮らしを支える、働くを支える、再出発に寄り添う、伝える」を路上生活経験者や地域の力を借りながら進めています。

今回そうしたお話を聞くことで1年次生はどのような刺激を受けたのでしょうか。以下、レポートからの抜粋を載せます。

  • 支援者がクライエントの背景や抱えている問題に対して「このケースはこの支援で良いだろう」「このタイプって、こうだろう」と思っていると、本当の背景やその人が本当に抱えている問題に気づけない。だからこそ色々なことを知り、様々な人に聞いていくことが、私たちが専門職になる上で大事なことだと教わりました。
  • 人権を守り誰もが自由に自分らしく生活できるように支援することが私たちの仕事なのだと感じた。私はこれからソーシャルワーカーを目指していく中で、このように学んだことを意識していこうと思う。
  • (ホームレスの人に)話しかけづらいとか、どんな人か分からないからなどの理由で相手を知ろうとしないのは良くないと思った。その人の全てを理解することは当然できないが、より全てに近づけるよう理解しようとすることが大事である。
  • Homedoorは、私たちと同じ19歳の頃に代表が設立をしており、ホームレス問題を解決したいという思いが学生でも実現できるすごさと可能性を感じました。
  • 私はソーシャルワーカーを目指そうと思ったとき、「困っている人を助けてあげたいから」「問題を解決してあげたいから」と自然と困りごとを抱えている人たちを下に見ていて、それに手を差し伸べるようなイメージを持っていました。ですが本当は、これから私と出会う人たちは皆それぞれ違う人生を歩いてきた、私の知らない世界の先輩であり、ならば私は問題解決のために上からでなく、隣を歩かなければならないと思いました。
  • Homedoorが昼回り、夜回りする時に配っているお弁当は、地域の人に寄付してもらったりフードバンクを利用していると言っていたが、このことについて私は、寄付してもらえるようになったのは、日頃から地域との関わりを大切にしていて、地域の人がホームレスについて関心や支援をしたいなどの気持ちがあったからだと思った。
  • 福祉に関わる相談というのは、そのクライエントの人生を左右する支援であり、様々な事柄を整理した上で、より適した支援内容を吟味しなければならない。支援を終えた後はもちろんのこと、支援内容を決めた時、その内容を行っている時など、そのたびにその方にあった支援・関わりがとれているのかという疑問を自分自身に投げかけられるようにならなければならないと考えた。

いかがでしたか。1年次生が、様々な角度から理解して学んだ様子が書かれていると思います。
 
対人支援を学ぶのは、学内と学外を往復する中で実際的に進められます。学生へこれからも多くの機会を提供する予定です。
 
IMG_0805.jpg