人間科学部 社会福祉学科からのお知らせ

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人間科学部 社会福祉学科の授業の様子~相談援助演習Ⅱ~

人間科学部 社会福祉学科の授業の様子~相談援助演習Ⅱ~現場で活躍しているソーシャルワーカー(相談員)に話を聞きました。

社会福祉学科の1年次生は、2年間かけて相談援助の方法について小クラスでトレーニングを受けます。この科目を「相談援助演習」といいます。

 「方法」と聞くとノウハウやマニュアルを連想すると思いますが、ソーシャルワーカーである社会福祉士は相談に来られた方の一人ひとり異なる相談内容や今後への想いに沿って援助を進めていきますので、一人ひとりの個別性・多様性をしっかりと尊重するという姿勢が大切です。「方法」は援助者の適切な姿勢と思考に支えられているのです。

 今回、相談援助演習Ⅱの合同授業でゲスト講師による「日本における難民支援の現状と課題~社会的排除の視点から」と題する講演を受け、援助者、ソーシャルワーカーの適切な姿勢と視点について皆で考えました。

 (公財)アジア福祉教育財団難民事業本部関西支部 難民相談員(社会福祉士、精神保健福祉士)は、日本に支援を求めてやってきた難民に対する相談支援を行っておられます。 今回の講義では、

・法務省のデータに基づき、滞日外国人の状況と国の出入国管理行政について理解する。

・難民の定義および日本で暮らす難民について理解する。

・難民を含む滞日外国人支援の現状と課題を考察し、社会福祉士としてソーシャルワークを実践するにあたっての留意点を理解する。

を柱としてお話をいただきました。

 滞日外国人とは 難民とは  データから見る滞日外国人の状況 現状や課題等・・・ 初めて聞く内容に多くの学生は高い関心を示していました。

今回そうしたお話を聞くことで1年次生はどのような刺激を受けたのでしょうか。以下、レポートからの抜粋を載せます。

・人にはそれぞれ価値観があるのが当たり前である。国が違うことによって、日本人と外国人とでは価値観が大きく異なる場合がある。支援をするにあたって難民の価値を認めながら、日本としての価値を伝えるこつようがある。そのためには、まず、難民の価値の理解を深めなければならない。ソーシャルワーカーが難民の立場となり、なぜそのような価値観を持っているのか、その価値観と日本の価値観を合致させるにはどのようにすればよいかなど、多くのの疑問を抱くことから始めるべきである。どのような壁があろうとも、相手を思い、丁寧に対応することから始まる。

・今、社会は外国人を「人」として見ることはできているのだろうか。外国人の排除の理論に社会全体が向き合う必要がある。今の日本の制度や構造に課題が多く、受け入れ態勢が不十分という点を見て、自分たちの問題としてみることができていないように思われる。社会全体の問題として見ることができたとき、外国人を「人」として見ることができた時である。

・日本国内だけの文化や価値観にとらわれ、日本に新たな可能性をもたらしうる存在を拒み続けていて良いとは思えない。無関心や知識不足を言い訳にせず、受け入れる側の国民が現状を学び、自分の意見を持つことから始めるべきだと考えた。

・滞日外国人支援の難しさを実感しました。どうして地域の人と滞日外国人が仲良くしていこうとする意識がうまく芽生えないのか、文化的背景や価値観の違い言葉の問題を解決しないといけないと思った。

・難民である外国人は自分が難民だということを自分で証明しなければいけない。そのことがとても大変である。日本も難民の基準やどこまで審査するのか非常に難しいと思われる点を大使館から情報を収集し、その国が置かれている状況とその人の証言を照らし合わせることで、自分が難民だということを証明しやすくなる。

・対日外国人が相談しやすい窓口を作り、法的な枠組みを拡大させる。さらに在留資格はなくても、日本に滞在できる期間を長くする。滞日外国人の中には無国籍の方もいると聞いたので、国籍を取得できるような制度を作る考えることも大切である。支援においては価値観や文化的背景を尊重しながらコミュニケーションを図ってサポートすることが大事だと思う。

 

いかがでしたか。1年次生が、様々な角度から理解して学んだ様子が書かれていると思います。

対人支援を学ぶのは、学内と学外を往復する中で実際的に進められます。学生へこれからも多くの機会を提供する予定です。