第6回目「カンボジアの現状」を報告して。このシリーズを終えたいと思います。
猛暑の日本を飛び出して、私たちがカンボジアに向かったのは8月後半でした。
あれからもう2か月が経とうとしています、記憶は薄れていくどころか、ますます鮮明になっていくのが不思議です。
「カンボジアの現状」を語るには、まだまだカンボジアについての知識は不十分です。
帰国後、報告書をまとめるために、私たち3名は、互いの専門分野からカンボジアについての情報を共有しました。
しかし知れば知る程にカンボジアの現状を語るには力不足を痛感しました。
最後のシリーズがカンボジアの印象になることをお許しください。
まずは、東南アジアにはじめて旅した者として、びっくり!ショック!圧倒されたのが、自動車、トゥクトゥク、そしてオートバイの夥しい量とすさまじさでした。
自分の脚を一歩踏み出せず「私は歩くのだ!」という強い意志を持たないと永久に道路は渡れないということが分かりました。

車、オートバイと、トゥクトゥクの威力
第2番目はカンボジアの代表的な都市部プノンペンと農村部の格差です。
カンボジアの僅か2か所の貧困の村を訪問しただけですが、都市の真ん中にある巨大ショッピングセンターや高層ビルとの現実のあまりの格差に心の整理がつきませんでした。
また、インターナショナルスクールや専門学校が立ち並ぶプノンペンと小学校すら未だ満足に普及していない農村部の現実の格差です。
今回の我々の視察の原点は、雨露を凌ぐことができるかどうかと案じる高床式の家屋に住んでいる小学3年生の少女との出会いでした。
彼女の夢が「学校の先生」と聞き、教員である我々は胸を打たれました。

プノンペンのイオンモール(公式HPより引用)

建築中の高層ビル

貧民の村

村の傍らで戯れる子どもたち
第3番目にこの国の現状をもたらした源が「ポル・ポト政権」の自国民への大量虐殺であることです。
1970(昭和45~)年代と言えば、私は当時、高校生だったはずです。
日本にいながら、遠い国の出来事としてしかとらえていなかった現実を今、自覚しました。
自国の政権が自国民を大量虐殺することの意味を問い「同じ過ちは繰り返さない」ために、今、何が出来るのであろうかと自問した研修でした。

大量虐殺が実施された高校校舎
最後に福祉施設、学校を中心に視察をしたこの旅でしたが、やはり世界遺産であるアンコールワット等の文化遺産は印象的でした。
これからも保存され、また多くの人々に訪れてほしいと願います。
クメール文化の歴史的変遷とこの発掘に至る変遷は、後世に引き継いていくべき人類の貴重な遺産です。
かなりのスケールとかなりの勾配のある階段、日陰のない敷地、是非是非足腰が丈夫で、細かい彫刻や仏像を楽しむことのできる体力、気力のある間に人生で一度は訪れてほしい聖地です。
偉大な人類の遺産です。

日の出を待つアンコールワット

悠久の歴史を感じるアンコールワット

アンコールワットの見事な壁面彫刻
この6回シリーズをここまで読み通して下さった方々に心よりお礼申し上げます。
このような貴重な体験ができたことは本当に小さな小さな出会いからでした。
カンボジアが好きだからカンボジアでボランティアをされている魅力的な方々に多く出会いました。
そして何より学んだのは出会った「子どもたちの澄んだ眼」です。
何故、カンボジアの子どもたちは貧しくっても、このような心洗われる眼をしているのでしょうか。
これは私たちの大きな課題となりました。

子どもたちの幸せを祈って!
最後に、このカンボジア視察が次の世代の若い学生に繋がっていくことを祈念し、このシリーズを終えたいと思います。
出会った一人一人にオークン(クメール語:ありがとう)です。