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夏休みと読書

2014年8月 8日

前期末試験が終わるといよいよ夏休みが始まります。私の学生時代の夏休みということになると、文学部にいたこともあってか、読みたいと思っていた本がいよいよ読める時間ができるとわくわくした思い出があります。授業がある間は予習や復習で忙しく授業と関係のない本は夏休みや冬休みを利用してということになっていました。

最近ある新聞が漱石の『こころ』を連載しています。高校時代にこれを読んだのですがやはり夏休みだったと思います。友情とか人が生きることについてこの小説は自分で考えるきっかけを作ってくれました。おもしろいことに今新聞で連載しているのをまた読んでいるのですが、50年以上前に読んだこの本がよく覚えているところとそれほど覚えていないところがあって、読むたびに新鮮で興趣が尽きません。

古典というものはこういうものでしょう。私は若いときに読んだものが今こうしてまた驚きを与えてくれていることに感激を覚えています。時間の経過があっても何度も新しい意味を与えてくれるものが「古典」というものでしょうが、学生のみなさんにはぜひ夏休みを利用して「古典」との出会いをつくってもらいたいと思います。

すぐに何かに役立つ物ではない、しかし、自分の生き方を考える上で核になってくれるもの、それが「教養」というものです。読書を通じて自分を磨き、「教養」を身につける絶好の機会が夏休みです。学生諸君がひとまわり大きくなって後期の授業に戻ってくることを学長として期待しています。