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成長に本気。大阪人間科学大学

OHS卒業生ストーリー

チーム支援の現場で生きる

チーム支援に、
なくてはならない人として

患者さまと長い時間をともにする。
だからこそ、
汲み取れる思いがある。

医療法人徳洲会 近江草津徳洲会病院
リハビリテーション科
理学療法士

とりかい かける 鳥飼 翔さん

2020年3月 人間科学部 理学療法学科 卒業
(現 保健医療学部 理学療法学科)

INTRODUCTION

チーム支援にかかわる様々な専門職の中で、
患者さまと接する時間が特に長いのが
リハビリテーションの専門職である。
そのうちの一つである理学療法士は、
病気やケガで身体機能に課題のある患者さまに対して、
立つ・歩くなどの基本動作の回復を目的に、
じっくり時間と回数を重ねてリハビリテーションを行う。
理学療法士の鳥飼さんは言う。
「患者さまとの距離が近いからこそ、
できることがある」と。
人あたりの良さがにじみ出るそのまなざしは
一人ひとりの患者さまへとまっすぐに向けられている。

「リハビリテーションがつらい」
に寄り添い、和らげ、意欲を引きだす。
そのために、自分に何ができるか。

私は現在、主に整形外科疾患の患者さまを担当しています。転倒によって大腿骨頸部を骨折して手術された方など、患者さまの多くは高齢の方です。私が行うリハビリテーションが患者さまの回復度合いに影響するため、理学療法士として責任を持って向き合っています。
私が大事にしているのは、患者さまのやる気を引き出すことです。会話をしながら何に興味をお持ちなのか聞き出すようにしています。患者さまの性格や趣味嗜好に合わせて、ボールを使った遊びやスポーツの要素など、少しでも楽しめて身体機能回復につながることをプログラムに取り入れます。きっかけは、もしも自分が患者さまの立場ならと考えて「入院して不安な気持ちの中、少しでも自分の好きなことができたらいいな」と思ったこと。リハビリテーションが単調で退屈なものにならないように特に意識しています。
ある患者さまは「退院したら愛犬を抱きしめたい」と話してくださいました。そこで、可愛がっている犬が飛びついて来てもケガをせずに抱っこすることを目標に、ボールを軽くワンバウンドさせて受ける練習を一緒に行いました。無事に退院された後、検診に来られたときに「犬をちゃんと抱きしめられたよ」と笑顔で声をかけてもらえました。患者さまを思い、自分なりに工夫したことで感謝されることは本当にうれしく、この仕事をやっていて良かったと感じます。

そばにいるからわかる悩みや本音。
患者さまの代弁者となり
チームでしっかり支えていく。

リハビリテーションは、通常1回あたり約20~60分。患者さまと会話する機会が多く、関係性を築きやすい立ち位置だと思います。そのため心を開いてもらえることも多く、「本当は家の事情でなるべく早く退院したい」など、本音を耳にすることもあります。そんなときは患者さまの回復状況をふまえて、少しでも早く退院できるようチームの医師や他職種のメンバーに相談します。患者さまと接する時間が長いと、体調などの些細な変化も感じ取ることができるので、気になることはすみやかに看護師と共有。そばにいるからこそ気づけることを発信していくのは、チームにおける自分の役割だと思っています。また、作業療法士や言語聴覚士とはリハビリテーションの内容から退院後の生活環境、日々の体調などについて頻繁に話し合います。それぞれが専門の立場から力を発揮して、チームで支えているという意識は強くあります。
患者さまがご自宅に戻られてから問題なく生活できるかどうかを確かめるために、退院前訪問指導を行うことがあります。ある高齢の患者さまの場合は、チーム支援のメンバーである作業療法士、社会福祉士、看護師とともにご自宅へ伺い、ベッドからトイレまでの動作確認や、室内で歩行器を使う場合の段差確認、簡易スロープや手すりの設置場所についての指導を行いました。ご自宅の環境を見ることで段差や階段などに対応したリハビリテーションができるため、患者さまも退院後の生活に順応しやすくなります。古い日本家屋は段差が多いとの知識はありましたが、実際に見ると思った以上でした。リハビリテーションですべきことがしっかりイメージでき、私自身にとっても良い経験になりました。

<チーム支援での役割・責任>

TEAM SUPPORT SYSTEM

チーム支援での役割・責任

どんな症状にも対応できるように。
経験と勉強を積み重ね、
誰からも頼られる存在になりたい。

整形外科疾患の患者さまの症状は様々で、心不全などの症状を抱えている方もいます。その場合は、心臓疾患に詳しい先輩の理学療法士に、リハビリテーションをする上でどのようなことを注意すべきか相談します。ほかにも脳神経疾患、呼吸器疾患などに詳しい先輩や、レントゲン写真を見るだけで症状を推測し、注意点や対処方法を指導してくれる先輩もいます。将来的には私も、整形外科疾患だけではなく様々な疾患によってリハビリテーションを必要とする患者さまに、幅広く対応できるようになりたいです。そのためには、数多くの疾患についてこれから勉強するべきことがまだまだたくさんあります。一層努力が必要ですが、尊敬する先輩たちのように患者さまからも同じ理学療法士からも頼られるような、知識と技術に長けた理学療法士を目指して日々勉強を続けていきます。

COMMENT

/ 支援チームの方々が語る鳥飼さん

鳥飼さんは、言葉遣いも丁寧で、穏やかな表情で人と接したり、ひざを曲げて目線の高さを患者さまと合わせたり、心配りが自然にできています。
患者さまからも「何気ない会話の中から親身に相談にのってくれた」と好印象です。また、科内で依頼ごとをしたときも、快く受けてくれる頼りになる存在です。

鳥飼くんの真面目で頑張っている様子が、同期の私にも伝わってきます。
上司や患者さまと話すときも、はっきり意見を伝えるシーンをよく目にします。
そして、患者さまと笑っている声が理学療法室内でもよく聞こえるので、雰囲気をとても大切にしてリハビリテーションしているのだと感じます。

PROFILE

「理学療法士を目指せる大学で、他の対人援助職の学科がこんなに多いところはあまりない」と、大阪人間科学大学を選んだ鳥飼さん。社会福祉学科などもあり、他職種について知ることができる環境が魅力だったと言う。実際、「対人援助演習Ⅱ」などで他学科の学生と交流することで、お互いの目指す職種に関する話もするようになった。卒業した今も、社会福祉士になった友人と連絡を取り合い、近況を語り合うそう。大学時代は、実技テストを完璧にクリアするために、遅くまで大学に残って繰り返し練習した思い出も。その時しっかり身に付けた技術で、今日も誰かを回復へと導いている。