任される仕事 選手のフィジカル強化とケガ予防、ケガの処置です。スポーツトレーナーには、アスレチックトレーナーとS&Cコーチがありますが、重なる領域が多いですね。アスレチックトレーナーはケガのリハビリはもちろん、ケガをしないための身体づくりも指導。S&Cコーチは選手の身体づくりとケガ予防、パフォーマンスの向上を目指します。私の強みはどちらもできることです。
この道を選んだ理由 ラグビー選手だった頃はケガが多く、肩や手首、足首を何度も手術しました。その時、ケガを予防するフィジカル面の重要性を痛感。手術でケガを治しても、その原因がフォームや身体のクセにあれば、同じケガを繰り返します。理学療法士なら身体の動きから原因を解明し、フィジカルを強化して、ケガをしないための身体づくりで選手を支えられる。だから、この道を選びました。
このスキルが生きる ケガで苦しむ選手を救うためには、身体の動きを根本から理解し、ケガの原因を追求できる知識と技術をベースとして身に付けることが一番だと考え、理学療法士の資格を取得しました。解剖学など身体に関する幅広い知識や、原因究明の考え方が身に付いたことは大きな強みです。この知識と技術を活かし、選手のサポートに自身のエネルギーを注ぐことが大事だと思っています。
やりがいを感じる瞬間 アスレチックトレーナーとS&Cコーチを兼ねて依頼されることが多いのですが、どちらもチームの目標達成のために重要なポストであることは変わりません。監督・コーチとは違う立場で選手と接しながら、時には先頭に立って引っ張り、時には後ろからサポートします。苦しいリハビリを乗り越えて選手が復帰した時や、弱点を克服できた時、チームにも選手にもよい結果が出た時は、何より嬉しいですね。
他の専門職と連携 理学療法士や医師はもちろん、アスリートの身体の状態によって鍼灸師やマッサージ師などの専門職も協力してケアにあたります。そのため各専門職の役割などの基本的な知識や情報共有を徹底することなど、チームでアスリートを支えるための連携力も必要です。理学療法士としての視点は最適なケアの判断に役立つため、各専門職によるケアを選ぶ際にコンシェルジュのような役割を担うことも多いです。
リオオリンピックに帯同 アスレチックトレーナーとして、2016年リオオリンピックに出場するライフル射撃のチームに帯同し、現地でサポートしました。ラグビーやバスケットボールなど動きのあるスポーツと違い、ライフル射撃は止まって撃つスポーツ。姿勢や体の軸の作り方、集中力の高め方などをサポートします。経験のないスポーツでも、使う筋肉やその動きを事前にしっかり勉強すればサポートは可能です。様々なスポーツに対応した経験は、他のスポーツのサポートにも活きてきます。
スポーツトレーナーの展望 アスレチックトレーナーに限らず、広くスポーツトレーナーとして捉えると、今後はパーソナルトレーニングのジムという形態も増えていくかもしれません。あったらいいなと思うことは、小中学校のクラブ活動をスポーツトレーナーに任せることですね。昨今問題になっている学校の先生の業務過多の状況を改善でき、子どもたちのフィジカル面の強化やケガ予防もプロの指導でできることはメリットが大きいと思います。