●プロフィール
JATAC(ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会)理事長。スポーツ障がいの予防に積極的に取り組み、我が国のスポーツ活動の発展に寄与することを目的とするJATACの設立(1995年)に尽力し。アスレチックトレーナー認定制度を創設した立役者でもある。
避けられないアスリートのケガ。
トップレベルのアスリートたちは、勝負のために最大限の力を発揮します。彼らにとっては勝つことがすべて。ケガなど気にせず、全力で挑みます。スポーツの世界でケガをゼロにすることは不可能と言えるでしょう。しかし、スポーツ科学によってケガを防ぐことは可能です。身体に受けるダメージの影響を分析してトレーニングに活かせば、アスリートはベストコンディションで試合に挑むことができます。スポーツ科学では一人ひとりの心肺機能や筋力の測定評価が極めて重要。同じくらいの記録を保持するランナーが2 人いても、同じトレーニングで良いとは限りません。疲労回復の速度もダメージを受ける部位もそれぞれ違います。そこで客観的なデータが重要となるのです。
科学的なデータの重要性。
監督やコーチが競技力を上げる指導に優れていても、コンディショニングの基本原則を知らなければ、アスリートは壊れてしまいます。日々のトレーニングで負荷がかかりすぎていないか、しっかり観察することも大切です。アスレチックトレーナーは科学的データを分析して、アスリートのコンディショニングを支えます。試合やトレーニングでかかる負荷から回復にどの程度の日数が必要か導き出し、アスリートの身体能力を守りながら高めるトレーニングのために、科学的データを活用します。本学科の学びはアスレチックトレーナーの基礎教育として非常に大事な領域です。また、スポーツ科学を理解した理学療法士は、アスリートにとって頼れる存在となるはずです。

Lecture

スポーツ選手のケガ、
その原因・予防・対策 知ってる?

  • 肉離れ

    プレー中の接触や、ダッシュ時に太ももやふくらはぎの筋肉が断裂する肉離れ。繰り返すケースも多く選手生命を脅かします。筋肉のバランスが悪くても肉離れにつながるため、筋力測定をして弱い箇所を把握し強化するトレーニングも大事。

  • 腱板損傷

    肩甲骨と上腕骨をつなぐ棘上筋と言う筋肉が損傷した状態が多く、投げすぎが原因となることが多いです。投球フォームを観察し、肩への負担を軽減するフォームの改善が望まれます。肩周りの筋肉を強化、柔軟性向上も有効。

  • 前十字靭帯損傷

    膝の前十字靭帯損傷はカットイン時や接触プレーで受傷するケースが多く、女性プレーヤーはX脚やホルモンバランスの影響で負傷しやすい部位。ドリブルフォームの改善やトレーニングによる筋力強化が大事。

  • シンスプリント

    脛(すね)に痛みを感じるシンスプリント。痛みは慢性痛です。外反母趾や偏平足など足部の問題によっても起こりやすいです。足底板(インソール)を使った足部機能の補助や、動作分析による走り方の改善が必要。

理学療法学科
玉田 良樹 助教

競技ごとに違う、スポーツ選手のよくあるケガ。その原因を知ることで、予防や対策にどんなトレーニングが必要か考えること。
それもスポーツトレーナーの大切な役割です。

スポーツ選手の支援に強い

理学療法学科の授業をご紹介

理学療法士(国)受験資格とアスレチックトレーナー資格のダブル取得を可能にする秘密はカリキュラムに!
スポーツ選手の支援に強いヒミツもチェックしよう。

人の身体運動のメカニズムを研究し、姿勢や動作に伴う身体の動きを観察し、評価方法を学びます。筋機能解析運動装置を使い、関節を曲げた時に出せる力を角度ごとに測定するなど、最新機器も使用。一般の筋力測定では測れない精密なデータを計測し、分析する方法も学習します。動作に対する筋肉の収縮や働き、更に障がいがある場合は働きがどのように変化するかまで詳しく学ぶことで、理学療法士として必要な知識や分析力を身に付けます。

スポーツ選手の支援に強いヒミツ

筋機能解析運動装置は、ケガをしたアスリートの筋力がどの程度回復しているか、科学的根拠のあるデータとして評価できます。データを基に分析し、まだ弱い部分の強化が可能です。スポーツ外来など医療現場でもよく使われているこの装置を使って学習できます。

トレーニングの質と量は、運動の「種類」×「強度」×「時間」の一回当りの運動量と「頻度」×「期間」を加えた長期の運動量の総計で決まります。これらの条件と競技の成果を考慮することが大切です。また、授業では、筋力や持久力などのエネルギー系トレーニングや、調整力や柔軟性などのサイバネティックス系トレーニングの理論を学びます。

スポーツ選手の支援に強いヒミツ

トレーニング理論は、アスレチックトレーナーの養成に必要な知識です。選手のコンディショニングやトレーニングメニューは、科学的データを基に、選手ごとの特性を踏まえて構成していきます。

身体の感覚や反射反応、痛みなどの身体機能の状態を評価する技術を学びます。身体の部位や検査内容によって多くの評価方法があり、使う器具も様々です。筆のような器具で触覚刺激を与える方法や、医療用ハンマーで叩く方法もあります。検査時には、刺激を加える部位や力加減も変える必要があります。授業では学生同士がペアになり、交代しながら各部位の評価技術を学んでいきます。

スポーツ選手の支援に強いヒミツ

評価技術を身に付けると、試合中のケガの状態をすぐに評価できます。例えばアスリートが膝を傷めた場合も、検査をおこなうことによって靱帯や半月板の状態を確認することができます。ベーシックな評価技術ですが、スポーツの現場でも病院でも必要とされる技術です。

骨格模型など使い、骨や筋肉、関節の構造や役割を学びます。よく言われるのが「患者さまの身体を透かして見られるようになれ」ということ。骨や筋肉、靭帯が身体の中でどのような構造になっているのか、三次元的に理解することが理学療法士として大切です。さらに骨や筋肉の組織標本を顕微鏡で観察し、その特性まで知っておくことで、運動やストレッチの負荷がどのように身体に働いているかイメージできるようにします。

スポーツ選手の支援に強いヒミツ

スポーツでよく起こる肉離れにはグレードがあり、微細な断裂と大きな断裂では、筋線維の修復期間が違います。ケガの状態を知り、ケガの治りを検討するためにも、解剖学による三次元構造の理解は必須です。

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