そのギモン、心理学で解決だ!COCOROISM(ココロイズム)

Vol.01

普段は意識していない自分の気持ちや行動について、
ふと、不思議に思うこと、ありませんか?
気になるココロの疑問について、レクチャーします。
身近なことにも役立つ心理学の面白さに、
ぜひ触れてみてください。

暗記の問題でヒントが出たのに
正解率が下がった。なぜ?

ヒントが記憶を抑制したから。

覚えていたはずなのに思い出せない記憶の不思議

普通ならヒントがあると正解率は上がるはず。だけど、場合によっては、ヒントが邪魔して正解率が下がることもあるのです。
例えば、「先週習った30個の英単語をすべて答えよ」という暗記のテスト。「今回は全問正解しやすいように、ヒントとして30個中の16個は答えを教えます」と、直前に教えられたとします。そうすると残りの14個さえ答えればいいのだから、点数アップも期待できそう。しかし、実際は残り14個だけを答えるより、最初から全部自分で答えた方が正解率は上がる傾向になるという実験データがあります。これは直前に提示され、強く頭に残った16個により、残り14個の記憶が抑制されてしまうから。覚えていたはずなのに思い出せなくなるのです。

頭の中で、いますぐできることには限界がある

皆さんもテスト直前に見直していた問題とは違う問題が出たら、本当は覚えていたはずなのに思い出せなかったこと、ありませんか?頭の中で、いますぐできることには限界があります。直前に一部の問題だけを見直せば、記憶として強く頭に残るため、もちろんその問題が出れば良い結果に繋がるでしょう。しかし、別の問題が出た場合は思い出せなくなってしまうことも起こりがちです。そうならないためにも、普段から勉強はどの分野もしっかりとしておきたいものですね。
認知心理学は記憶のしくみなど、頭の中で起こっていることを知る学問。記憶の仕組みや不思議を探求します。

教えてくれたのは

心理学部 心理学科

平野 哲司 准教授

なぜ自分と似た雰囲気の人と
友だちになりたくなるの?

内面も似ていると思い込んでしまうから。

外見で分かるはずがないことを想像が補っている

新学期がスタートし、新しいクラスでまだ誰とも顔見知りではなかったら、どんな人と友だちになろうとしますか?席が近い人に声をかけることもよくありますが、大抵の人は自分と似た雰囲気の人と友だちになろうとするはず。それは一体なぜでしょう?
自分と同じような雰囲気に親近感を覚えることはもちろんですが、雰囲気が似ていることで内面までも似ていると思い込んでしまうことも理由のひとつ。本当は外見だけで内面まで分かるはずはないのですが、無意識のうちに想像して思い込んでいるのです。
服装や化粧などの装いには、相手に対する情報伝達の役割も含まれています。装いによっては人を近づけたり、遠ざけたりすることにもつながるほど、相手の心理に働きかけているのです。

装いは自分の気持ちにも影響する

お気に入りの服を着ていると気分があがるように、装いは自分に対しても影響力があります。制服には同じ集団であることの意識づけやまとまり感など、様々な役割がありますが、生徒自身も着用することで安心感を得たり、仲間意識が生まれます。
また、スポーツの世界ではユニフォームの色によって勝率が変わってくるという研究結果も。レスリングは赤と青の2色のユニフォームですが、赤を着た選手の勝率の方が高かったという調査データがあります。これには赤色の闘争心を焚きつける心理効果の影響が考えられます。
装いが対人心理に与える影響について学ぶのは、社会心理学のフィールド。どんな自分になりたいか、装いでセルフプロデュースしてみることにも役立つ学問です。

教えてくれたのは

心理学部 心理学科

箱井 英寿 教授

カウンセリングを学んだら
人の心が読めるようになる?

答えはNo、大事なのは話を聴く事。

対象者はどんな人物なのか、関心を持って話を聴く

心理学を学んでいると、「人の心が読めるのか」という質問をされることがあります。実際は、学んだからといって読めるわけではありません。カウンセリングの現場でも、一番大事なのは、悩みを相談に来た対象者の話を聴くことです。この人はどんな悩みを抱えているのか、どんな考え方をしているのか、どんな気持ちでいるのか、丁寧に聴いていきます。同じことを経験していても、人によってそれぞれ感じ方、受け取り方は違うもの。それをじっくり聴いていくのが、カウンセリングの基本です。

対象者との信頼関係がカウンセリングを成功に導く

カウンセリングでは、決めつけた応答はタブー。相手からすれば自分の話を聴いてもらえない感じがして、心を閉じたくなってしまいます。上手に聴いていけば相手は自分のことをわかってもらえそうだと感じて、カウンセラーとの間に信頼関係が生まれます。心を開いてもらえると、当初はそこまで話そうと思っていなかったことまで話してもらえることもあり、相手の情報が増えることで、理解もしやすくなります。
カウンセラーは悩みに対して最初からアドバイスをするのではなく、まずは相手の心の中の絡んだ糸を解きほぐしていく手助けをします。ストレスの多い現代社会において、心の専門家として重要な役割を担うカウンセラーが、今まさに医療・福祉・教育・産業・司法等、様々な分野で求められています。

教えてくれたのは

心理学部 心理学科

山本 孝子 教授

大阪人間科学大学なら

人間と人間との共生を目指す
心理学部がある

保健医療、教育、福祉、司法、産業に関連する多様な心理実践科目と、心理に関する支援の実態を理解する実習科目を通して、幅広い年齢層の人びとの心理的な問題とその予防・解決に関する様々な知識や対処法を学びます。医療現場、学校現場で求められる専門的知見の習得、価値観や生活様式の変動が激しい現代社会に対応できる心理学的な視点と思考力を身に付けます。また、本学大学院との一貫した公認心理師養成教育を受けることも可能です。