そのギモン、心理学で解決だ!COCOROISM(ココロイズム)

Vol.02

普段は意識していない自分の気持ちや行動について、
ふと、不思議に思うこと、ありませんか?
気になるココロの疑問について、レクチャーします。
身近なことにも役立つ心理学の面白さに、
ぜひ触れてみてください。

勉強や運動の能力も遺伝するみたいだけど
それって親の能力を超えられないってこと?

能力は遺伝プラス選んだ環境次第。

能力に対する遺伝の影響の多くは、50%程度。

もちろん、勉強や運動の能力は遺伝によって親から子へ受け継がれます。しかし、数百から数千の遺伝子が複雑に絡み合っているため、両親からどんな組み合わせで遺伝子を受け取るかによっても遺伝の度合いは変わってきます。例えば、「走るのが速い」という能力には、筋力、体型、足を速く繰り出す技能など多くの要因があって、それぞれの要因ごとに数多くの遺伝子が関わっています。父と母から能力の成績を高める遺伝子ばかりを組み合わせて受け継げば、親よりも高いパフォーマンスが期待できます。逆に平均的な方の遺伝子ばかりの組み合わせもあり得ますが、果たしてどんな組み合わせになるのかは分かりません。
また、遺伝だけが能力を左右するわけでもありません。能力によって異なりますが、遺伝が能力の個人差に影響するのは大体30~50%程度と報告されている研究が多いです。

遺伝子は変えられなくても、環境は変えられる。

人の能力には、遺伝で受け継いだものにプラス、環境が大きく影響します。例えば、音楽に関する高い能力を受け継いだ人が、学びの環境として音楽大学を選び、専門的な教育を受ければ、受け継いだもの以上に能力を伸ばすことが可能です。
能力はある程度遺伝しますが、親の能力を超えられるかどうかは、環境次第。自分の可能性を客観的に捉えて、伸ばすための環境をしっかり選ぶことが大事ですね。また、自分の可能性が分からない人は、いろいろな環境に出合うことが重要でしょう。
人間の発達要因である「遺伝」と「環境」について研究するのは、発達心理学の分野。人間の心と身体の成長について、心理学の理論で解明していきます。

教えてくれたのは

心理学部 心理学科

鈴木 国威 准教授

心理学を学ぶと、何ができるの?取得できる資格は?
大阪人間科学大学で学ぶ魅力とは?
在学生の先輩と心理学の先生に聞いてみました。

Real Voice

大学+大学院で一貫して
公認心理師資格取得を目指して学べる。

人間科学研究科 人間科学専攻
2020年3月卒業
野中 美幸さん
大阪市立工芸高校出身

現在、大学院で発達障がいについて研究しています。大学院へ進学した理由は、大学で4年間学んだ心理学をより深く追究しながら、公認心理師の国家資格取得を目指そうと思ったからです。
大学院の良いところは、医療、福祉、教育と様々な現場において実習が受けられること。それぞれの現場をリアルに体験することは、研究にはもちろん、将来どの分野へ進むかをじっくり考えるためにも役立ちます。以前は教育現場における公認心理師を目指していましたが、現場実習を経験して、医療や福祉にも興味が湧いてきました。
高校時代は解離性同一性障がいや心理テストに興味があり、心理学部を選びました。学んでみると、これまで自分が悩んでいたことについても、どうして悩んでいたのか、そのメカニズムが分かりましたね。ストレスマネジメントの方法なども学ぶので、心理職に進まなくとも生きていく上で役立つヒントを示してくれるのが心理学なのだと実感しています。

少人数制だから、
先生方のサポートも受けやすい。

大学院では、院生がそれぞれ研究内容を発表する形で授業が進みます。他の院生の発表にも刺激を受けながら、研究を深める日々です。大阪人間科学大学は少人数制で先生との距離が近く、一人ひとりをサポートしてもらえるのが大きなメリットですが、大学院でもその距離感は変わらず、学びやすい環境だと感じています。

現在、小学校の通級指導にボランティアとして週1回通っています。発達障がいによって授業中に立ち歩きをする子どもや、うまくコミュニケーションがとれない子どもたちを相手に、集中力をつけるための間違い探しゲームや、お話サイコロを使った会話の練習などに取り組んでいます。子どもたちの様子に効果がみえると、良かったなと思いますね。また、子どもたちの行動分析をすると、子どもは周りの影響も受けていることが分かります。例えば、授業中の立ち歩きは、注意を引きたいという欲求が原因の場合もあります。その場合は、先生に怒られることがその子どもにとっての成功。だから怒られると、また注意を引きたくて立ち歩きをしてしまう。先生が怒ることが行動に影響しているのですね。
教育の現場で働く場合も、学校の先生や外部の対人支援の専門家の方々とも連携が必要です。将来は、多職種連携もしっかりできる公認心理師になりたいです。

From Teacher

少人数制の学びに、
国家資格取得を目指す大学院。
公認心理師を志すなら万全の環境です。

心理職で初の国家資格「公認心理師」は、2017年に発足した新しい資格です。本学には、「公認心理師」が国に認定されるために長年働きかけてきた教員も在籍。国の機関が基準を定めるために提出する公認心理師育成カリキュラムの考案にも本学の教員が携わっています。また、公認心理師関連の書籍を多数、私や他の教員も執筆するなど、本学は公認心理師の最前線につながる大学といえるでしょう。これからの公認心理師のために様々に検討される現場の声を、学生の育成にしっかりフィードバックできる点も、ここで学ぶ大きな利点だと思います。大学院も併設されているため、公認心理師を目指して、より深く学ぶことも可能です。
大阪人間科学大学は、大学としては小規模ですが、だからこそ学生に目が行き届く環境です。学生一人ひとりの様子が分かるので、個人の特性に合わせた指導を行っていることも本学ならでは。卒業論文のテーマ設定などは、学生自身が将来の仕事にも活かせるものになるよう指導します。学生から相談を受けることはもちろん、教員から学生に声をかけることも多く、学生と教員の距離が近いことも、学びの場としての魅力だと思います。

心理学部 心理学科

東 千冬 准教授

大阪人間科学大学なら

人間と人間との共生を目指す
心理学部がある

保健医療、教育、福祉、司法、産業に関連する多様な心理実践科目と、心理に関する支援の実態を理解する実習科目を通して、幅広い年齢層の人びとの心理的な問題とその予防・解決に関する様々な知識や対処法を学びます。医療現場、学校現場で求められる専門的知見の習得、価値観や生活様式の変動が激しい現代社会に対応できる心理学的な視点と思考力を身に付けます。また、本学大学院との一貫した公認心理師養成教育を受けることも可能です。