


スポーツ分野でも求められる
リハビリテーション専門職。
持てる力を最大限に発揮して、自らの限界に挑戦する。そんなアスリートを監督やコーチとともに支えることも、理学療法士の役割の一つです。身体のケアや怪我予防の対策、目的に合わせたトレーニング方法などを、一人ひとりの状態に合わせて専門知識に基づきアドバイスし、パフォーマンス向上を支援します。義足のアスリートや車椅子バスケットボールのプレイヤーなど障がいのある人にとっては支援の必要性がより高く、安心して競技に集中するためにも理学療法士の役割は重要です。
また、障がい者スポーツにかかわる作業療法士も多く、その取組によって意欲が高まり社会復帰につながる人も。多くの人々がスポーツの楽しさや感動を分かち合えるよう、これからの理学療法士や作業療法士の活躍に期待がかかります。本学で専門的な知識や技術を学び、スポーツ分野で活躍する対人援助のプロフェッショナルをともに目指しませんか。
アスリートを支えるために知っておきたい
スポーツ別 ケガの原因・対策Q&A
アスリートによくあるケガは、スポーツのジャンルによって傾向があります。よくあるケガの原因を知ることで、予防や対策を導き出し、どんなトレーニングが必要かを考えることもリハビリテーション専門職の大切な役割です。アスリートを支えるために必要なプロフェッショナルの視点をQ&Aで紹介します。
- Q.バスケットボールで前十字靱帯損傷
- A.ドリブルフォームを要チェック
- (原因)
- 膝の前十字靱帯損傷はカットイン時や接触プレーで受傷するケースが多く見られます。女性プレーヤーは、X脚やホルモンバランスの影響で負傷しやすい部位です。
- (予防・対策)
- 膝の負担を軽減するためにドリブルフォームの改善が望まれます。また、トレーニングによる筋力強化が大事です。
- Q.体操で手関節障害
- A.手関節に体重をかける練習を
- (原因)
- 床運動やあん馬運動などで、手関節に体重がかかることで痛みが生じます。痛みの要因は、前腕の骨と手の骨が当たることで生じると考えられています。
- (予防・対策)
- 痛みや炎症状態が改善してから、手関節に対して体重をかけていきます。肘関節や肩関節の位置も重要で、腕の位置を矯正して体重をかける練習が必要です。
- Q.柔道で腰椎分離症
- A.体幹を鍛えるトレーニングを
- (原因)
- 相手の姿勢を崩してかける投げ技。その一連の動作で腰椎が伸び、かつ回旋するため大きなストレスがかかります。慢性的にストレスがかかると腰椎に疲労骨折が起こり、疼痛やしびれの原因に。
- (予防・対策)
- 治療は保存療法が基本で、装具療法で骨がつくのを待ちます。筋力トレーニングは体幹を中心に。また、股関節周囲の筋肉にストレッチを行い、柔軟性を高めます。腰椎伸展位にならないよう、トレーニングフォームの指導も大切です。
- Q.陸上でジャンパー膝
- A.股関節外転筋や股関節外旋筋を鍛える
- (原因)
- 膝蓋靭帯炎と大腿四頭筋腱付着部炎のことで、走幅跳びや走高跳などのジャンプ動作を頻繁に行う選手に発症しやすい症状。踏み切り時の股関節と足関節の位置が悪いと、膝に負担がかかり痛みが生じます。
- (予防・対策)
- 炎症が強い時期は、アイシングや超音波などの物理療法を行います。筋力トレーニングでは股関節外転筋や股関節外旋筋を重点的に。また、足関節の靭帯損傷を併発していないか確認し、足関節の筋力トレーニングも行うと効果的です。
- Q.マラソンで腸脛靭帯炎
- A.運動前は温熱療法、運動後はアイシング
- (原因)
- ランニングフォームが関係し、腸脛靭帯が大腿骨外側上顆部に接触するために炎症が起こると考えられ、走行時に疼痛が生じます。立位姿勢を取った時に、脛が内向き、つま先も内側になっている人やO脚の人に発症しやすいとされています。
- (予防・対策)
- 疼痛管理が大切。運動前は温熱療法、運動後はアイシングといった物理療法を行います。腸脛靭帯や足全体の筋肉が固くなっている人にはストレッチを。太もも内側の筋力トレーニングも有効です。ランニングフォームの修正に、テーピングを用いることもあります。
- Q.ラグビーで肩関節前方脱臼
- A.肩関節や肩甲骨周囲の筋力を高める
- (原因)
- タックルやスクラム時に、腕が後方に持っていかれ、肩関節の関節窩から上腕骨が前方に逸脱することで起こります。
- (予防・対策)
- 損傷の程度により、保存療法か手術療法が選択されます。保存療法では、肩関節前方脱臼が反復性にならないように、関節不安定性の確認が必要です。手術療法なら術後は肩関節の可動域の維持、肩関節や肩甲骨周囲の筋力を向上させることが大切です。また、手術をした肩関節以外の筋力強化・維持は早期から行います。
- Q.サッカーで肉離れ
- A.筋肉のバランスを整えるべき
- (原因)
- プレー中の接触や、ダッシュ時に太ももやふくらはぎの筋肉が断裂するのが肉離れです。繰り返すケースも多く、選手生命を脅かします。
- (予防・対策)
- 筋肉のバランスが悪くても肉離れを起こしやすいため、まずは筋力測定をします。筋肉の弱い箇所を把握して、トレーニングで強化することが大事です。
- Q.野球で腱板損傷
- A.フォームの改善がポイント
- (原因)
- 肩甲骨と上腕骨をつなぐ棘上筋という筋肉が損傷した状態で、投げすぎが原因の場合が多いです。
- (予防・対策)
- 投球フォームを観察し、肩への負担を軽減するフォームの改善が望まれます。肩周りの筋肉の強化や、柔軟性を高めることも有効です。
理学療法士が
スポーツ選手を支えるために注意すべきポイント
理学療法士の役割(病院やクリニック、チームスタッフなどの所属先によって役割は変わります)
- 怪我をして手術を受けた選手を支える
- 病院を退院後、競技復帰を目指す選手を支える
- 怪我をしない身体作りや動作を指導し、支える
支えるために注意すべきポイント
- 選手本人、関係者と目標設定について話し合いましょう。
- どのレベルでの復帰を目標にするか、チームはどの時点で復帰を望んでいるかなど、主治医やチーム関係者、選手本人とよくコミュニケーションを取りながら、理学療法を進めていくことが大切です。
- 理学療法の内容にも工夫が必要です。
- 選手はいろいろな葛藤と戦っています。理学療法プログラムのバリエーションを増やし、飽きさせずに取り組んでもらうようにすることも必要です。
- 選手の心理面にも配慮しましょう。
- 精神的にきついときは寄り添い、時には叱咤激励することも。選手を支えるためには動作や身体機能、心理面なども総合的にみられる理学療法士であることが大切です。
大阪人間科学大学
だから学べる
スポーツ選手に対する支援や、
義足や義手を活用した支援を学ぶ。
リハビリテーション系の3分野(理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科)がそろう保健医療学部では、チーム支援を先導できるプロフェッショナルを養成します。理学療法学科では、理学療法士国家試験受験資格とJATAC認定アスレチックトレーナー資格のダブル取得が可能。スポーツ選手の支援に強い理学療法士を目指せます。作業療法学科では、日常の身体の動きを通じて運動機能や脳機能などの維持・向上を図るための専門知識とスキルを習得。義足や義手などの義肢装具や自助具を活用した支援や技術も実践的に学びます。
大阪人間科学大学なら、こう学ぶ
対人援助演習II
「チーム支援」のリーダーを養成する。
チーム支援には、自分の専門分野以外の職種に対する理解と、コミュニケーション力が必要です。対人援助演習Ⅱでは、本学が養成する様々な対人援助のプロフェッショナルがどのような仕事をするのか、学部学科専攻の枠を超えて相互に理解を深めます。授業は、グループディスカッションを中心とした演習方式で、他学部学科専攻の学生たちと意見を出し合います。例えば、心理学の講義では、自分の気持ちを絵に描いて気づいたことを話し合います。チーム支援が実体験できるのは、対人援助の学びが7分野も揃う本学ならでは。将来、異なる分野のプロフェッショナルが集まり、最適な支援の在り方を検討するチーム支援の現場において、身に付けた力が役立ちます。