こんにちは! 大阪人間科学大学図書館です。
図書館では、図書館情報を積極的に配信する取組として、教員のおすすめ本の紹介を大学HPで配信しております。
今回は作業療法学科 中村幸輔先生に2冊の本を紹介していただきました。
それぞれ、チームや医療における考え方の助けになる本と、専門分野・国家試験に役立つ本となっております。
先生の紹介文を読んで本が気になった方は、ぜひ図書館で手に取ってみてください。

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見一郎
古賀史健著
ダイヤモンド社
今回、紹介させていただくのは「嫌われる勇気」という、アドラー心理学に基づいた自己啓発の本です。この本を読んでいると、教育勅語で述べられていることと共通する部分があると感じた部分を紹介したいと思います。
教育勅語と『嫌われる勇気』はまったく異なる時代・思想から生まれたものですが、人の生き方を方向づける「行動規範」を示す文書である点に共通点があります。教育勅語は「親孝行」「勤勉」「社会への奉仕」など、共同体の秩序を守るための徳目を提示し、人々を家族や国家の一員として統合しようと促しています。一方『嫌われる勇気』は、アドラー心理学に基づき「他者の期待ではなく自分の目的に基づいて行動する」ことを説いています。両者の類似点は、人がどう生きるべきかを示す指針を与える点です。
また、これらをチーム医療スタッフとして鑑みると、教育勅語は多職種連携の基本姿勢と重なります。例えば、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が情報共有を怠れば、患者の治療方針が合致せず回復が遅れることがあります。チーム全体のために自分の役割を果たす姿勢として応用できると思います。また、『嫌われる勇気』は、医療現場での主体的な判断力に通じます。例えば、先輩が忙しそうだからと遠慮して報告を遅らせると、患者の異変を見逃す危険があります。ここでの「課題の分離」はチーム内で必要な発言をためらわない勇気として役立ちます。
最後に『嫌われる勇気』は「共同体感覚」や「他者貢献」を重視しています。これは、患者を“治療の対象”ではなく共同体の一員として尊重する姿勢に繋がります。患者の生活背景や価値観を理解し、その人が望む生活に戻るための支援を行うことは、まさに作業療法士の仕事そのものであると思います。

イラスト解剖学
松村讓兒著
中外医学社
この本は、解剖学が苦手な人から、より深めたい人まで幅広く使用できる本だと思います。前期課程を終えるタイミングで読むにしても、これから始まる国家試験対策で使用するにしても、この本には解剖学を「暗記科目」にしないための工夫が随所にあり、読み進めるうちに自然と理解が深まる構成になっています。
保健医療学部の学生が対象にはなりますが、関心のある方はどうぞ図書館へ。
