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2022.9.28
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<令和4年度 第2回 図書館リレーインタヴュー 作業療法学科 助教 中川友紀先生へのインタヴュー>

こんにちは!図書館です。
後期授業が始まりましたね。充実した夏季休暇を過ごせましたでしょうか?

図書館では、図書館情報を積極的に配信する取り組みとして、
教員のおすすめ本の紹介を大学HPで配信することになりました。
今回は今年度の第2回目の配信になります。
第2回目は、作業療法学科 助教 中川友紀先生のおすすめ本の紹介します。
中川友紀先生、図書館リレーインタヴューへのご協力ありがとうございました。


図書館リレーインタヴュー

 スマートフォンやタブレット端末の普及により活字離れが進む中で、本の良さが見直されてきています。私自身、実際の本を手に持って本を読むのが好きです。ページをパラパラめくると全容を把握しやすかったり、読み進めながら読みたい部分を選びやすかったりするので、
実際の本の方が読みやすく感じます。今回は二つの文庫本を紹介させていただきます。著者鈴木大介さんの「脳が壊れた」と「されど愛しきお妻様」です。

「脳が壊れた」著者:鈴木大介さん
 ライターだった著者が41歳で脳梗塞を発症します。一命は取り留め、見た目は健常者と同じにまで回復します。しかし、一見外からは見えない障害に悩まされます。感情が抑えられずに大爆発したり、トイレの個室で突然老紳士に遭遇したり...。それは脳梗塞の後遺症「高次脳機能障害」によるものでした。
 この本を読むと、高次脳機能障害をもつ患者さんがどういう気持ちでその症状に向き合っているのか、どのようにその症状を受け止めていくのか、どういう生きづらさを抱えているのか等、患者さんの気持ちをとても具体的に知ることが出来ます。私自身、作業療法士として高次脳機能障害をもつ患者さんの支援に関わらせていただいておりましたが、患者さんはこのような気持ちでいらしたのかと改めて感じるものがありました。
 医療者向けに専門用語で書かれているような本ではなく、笑いあり涙ありの闘病ドキュメントです。とても読みやすく、医療系職種を目指す学生さんだけではなく、医療系にあまり興味がない方でも一気に読み進めることができる一冊です。

  • 「脳が壊れた」鈴木大介 新潮社

「されど愛しきお妻様」著者:鈴木大介さん
 上記「脳が壊れた」の著者が執筆した作品です。鈴木大介さんの闘病生活を支えたのは発達障害がある「お妻様」でした。「家事力ゼロなお妻様」が悪戦苦闘しつつ「超動けるお妻様」になり、鈴木大介さんと新たな家庭を築き上げるまでの作品になります。
 鈴木大介さんがお妻様と同じ障害の感覚を得たことで、なぜお妻様が食材の買い出しや食器洗いなどという家事ができないのか、そしてできないことがどれほど苦しいのか、今までにどれほどつらい経験をしてきたのか、ということがわかっていきます。発達障害がある大人の方々が抱える不自由さや大変さがどういうものか理解を助ける一冊だと思います。また、高次脳機能障害を抱えた鈴木大介さんがお妻様と
一緒に、どのようにすれば上手く家庭を回していけるのかを当事者感覚で考え取り組んでいきます。そのおかげで家庭の切り盛りが上手くいくようになり、妻との関係性も回復していきます。涙がでるような場面もあり、鈴木大介さんとお妻様の人柄がよく分かるような温かみのあるストーリーになっています。単行本を読むのが苦手な人は漫画版もおすすめです。

  • 「されど愛しきお妻様」鈴木大介 講談社

(作業療法学科 助教 中川友紀)

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