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重要
2024.10.18
重要
大阪人間科学大学における生成AIの利活用について
大阪人間科学大学
学長 井上 博司
昨今、ChatGPTをはじめとして、文章や画像等を生成する高度な技術を持つAI(生成AI)が急速に普及しています。生成AIを活用することは、利便性や生産性を向上させ、これからの時代の暮らしや社会の変容を導く可能性を秘めています。
本学の学生は、以下について留意し、生成AIを適切に活用ください。
◆大学としての方針
大阪人間科学大学では「人と社会を支えるプロフェッショナル」の育成を目指しています。人間・社会への理解にあたっては、幅広い専門的知識・技術が必要となります。
本学では、生成AIの使用について一律に禁止することはしません。適切に使いこなすことができれば、知的欲求や能力を高め、教育・研究活動を飛躍的に向上させることも可能です。生成AIの特徴を踏まえたうえで、出力内容について自ら真偽を確かめ、適切に活用するリテラシーを学生全員が身につけることが重要だと考えます。
一方、生成AIの使用にあたっては他者の権利を侵害することにもなりかねません。「人と社会を支えるプロフェッショナル」をめざす学生として、専門倫理について今まで以上に学び、生成AIに関する正しい知識及び技術を身に付け、AIの扱い方や活用法、問題点について日々考えて行動してください。
◆生成AIの不正確性
生成AIの出力内容には不正確な情報や矛盾する情報も含まれます。生成AIは正しいとは限らない大量の情報に基づいて確率的にもっともらしい情報を作ります。このため、誤った知識や情報等にもかかわらず、さも正しい知識であるかのような出力がなされることもあります。また、差別や偏見が含まれる場合もあります。生成AIの出力内容を鵜呑みにして利用することはあってはなりません。生成された情報が正しい内容なのか、誤った内容なのか、検索エンジンを利用する時と同様にあらゆる方向から裏付けを取り、自身で確認することが重要です。常に出力内容を批判的に分析するように心がけてください。
◆著作権・情報漏洩
未発表の研究成果や秘密にすべき情報(機密情報、個人情報やプライバシー情報等)などを生成AIに入力してしまうと、システムに蓄積・学習され、意図せずに流出してしまう可能性や他者に引き出される可能性があります。さらに、生成AIツールに限らず、AIツールの生成物には著作権や意匠権上の問題が存在する可能性が示唆されています。生成系AIの利用にあたっては、情報漏洩の防止、個人情報の保護、著作権侵害の防止、人権侵害の防止の点に十分に配慮してください。
◆授業での利⽤
大学として使用を一律に禁止することはしませんが、授業やゼミによっては、その特性に応じて生成AIの利活用を制限する場合があります。例えば、レポート・課題などで独創的なアイデアが求められる際や、音楽・芸術などの創作活動の際などで制限することも考えられます。各授業や研究活動における生成AIツール利活用の可否については、授業担当教員や指導教員の指示に従い、主体的な学びの補助・支援ツールとしての使用を心がけてください。
◆生成AIの使い方
大学における主体的な学びの補助・支援ツールの一つとして生成AIは利用されることになります。具体的な場面としては、論点の洗い出し、情報収集、文章校正、翻訳やプログラミングなどが考えられます。また、今後の社会生活において生成AIは様々な補助・支援ツールとして活用されることが予測できます。その意味からも実際に使う中で、原理の理解や技術的な限界などを知ることが大切です。
◆不正行為
生成AIの使用はみなさんの主体的な学びの補助・支援ツールになる一方で、主体性や創造性を発揮する機会を阻害するツールにもなることが予測されます。場合によっては盗用や剽窃とみなし、不正行為と判断することがあります。不正行為については厳格な対応を行います。
そうならないための具体的な事例として、レポート、課題、論文などの作成における留意点を紹介します。
- 生成AIが作成した文章等の全体をそのまま自分の文章として利用することは不正行為とみなされることがあります。また、一部を補助的に使用したとしても生成AIが使用した情報が著作権の侵害などの理由で法的問題が起こる可能性があります。
- 生成AIの作成した結果は、正しい情報に基づいて作成されているかどうかの判断基準が現状においては明確ではないので、正しい情報かどうかの自己判断をしたうえで使用する必要があります。
- 生成AIツールとのやり取りの中で個人情報や機密情報が流出することがあります。流出は意図的でない場合もありますが、第三者に利用されることで法的問題が起こる可能性があります。この場合は意図的でないからと言って許されるとは限りません。
生成AIは大変便利な補助・支援ツールでありますが、リスクもあります。無作為の使用ではなく自分なりに使用方法に留意して利用していくことが重要でしょう。
ここで述べた内容は、あくまで現在での状況をもとに記載したものであり、今後適宜更新することがあると認識してください。