こんにちは!大阪人間科学大学図書館です。
季節もすっかり秋らしくなってきましたね。過ごしやすい季節となりましたので、
秋をめいっぱい満喫してくださいね。
図書館では、図書館情報を積極的に配信する取組みとして、教員のおすすめ本や映画の紹介を
大学HPで配信しております。
今回は、今年度の第1回目の配信となります。第1回目は、社会創造学科 講師 武貞真未先生のおすすめ映画と本を紹介します。
武貞先生の推しの作品を学生の皆さんにもぜひ、読んでもらいたいなと思いました。また、先生の所属されている社会創造学科は、今年の4月に新設された学科となっており、学生の皆さんの中にもどんな学科かなと思っている方もいらっしゃるかもしれません。社会創造学科のことも紹介もされているので、新しい学科のことを知る良い機会となりました。それから、写真の撮影は、同学科の川上洸先生が撮影くださってますので、写真にも注目してください!
武貞先生、図書館リレーインタヴューへのご協力ありがとうございました。
学生のみなさん
社会創造学科にて、ソーシャルビジネス(社会課題や地域の困りごとに取り組んでいる事業)やサービス開発(データやデジタルデバイスなどを用いてWebサービスやアプリケーションを企画し、実際につくってみる)に関する講義を担当している武貞(たけさだ)です。
社会創造学科では、デザインや写真・映像など表現系を専門とする先生方と社会学、経済学、経営学などを専門とされている先生方がコラボレーションをしながら、あたらしい学科づくりにチャレンジしています。
制作活動やフィールドワークなど、地域や人と実際に関わりながら学びを深めていく機会も多い学科です。
今回は、コミュニケーション、まちづくり、社会課題、イノベーションに繋がりのある書籍を中心に4冊(3冊と短編映画1作品)を紹介します。読んでみた感想など教えてもらえると嬉しいです。
ARIKA Lab.にも遊びにきてくださいね。
1冊目:大切な人を守りたいと思う気持ちの強さと難しさを感じる作品
『カランコエの花』
(中川駿監督・今田美桜主演・オデッサ・エンタテイメント)
最初は友人に紹介してもらって、上映会に行って小さな映画館で観ました。感動のあまりその上映会でトークセッションに登壇していた監督さん本人に直談判してデータをお借りし、ワークショップでも題材として使わせていただいたり、地方で上映会を開催させてもらったりしました。DVD化のクラウドファンディングも応援していた私の推し作品です。登場人物の誰の立場から物語を観るかによって感想や感情が変わる面白さがあります。
「いくつもの思いやりが、ひとりの心に傷をつけた」というコピーにもある通り、「相手を思って行動する」ということの大切さと、それを実現するためにはあらゆるアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み、偏見)に気づくための努力や考慮した上での工夫が必要であるということを体感させられます。39分という短い映画ですが、繰り返しみると異なる視点で驚きや学びを得られる作品なので何度も観て欲しい、おすすめ短編映画です。
『カランコエの花』オデッサ・エンタテイメント
2冊目:対話すること、関係性を構築することについて考られる本
『他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論』
(宇田川元一著:NewsPicksパブリッシング)
人と他人が協力して組織で働いていきますが、その過程において「わかりあえなさ」から様々な問題が発生し、それが働きづらさになってしまうこともあります。「対話(dialogue)」をすることで、相手の「物語(narrative)」に入り込み、新しい関係性を構築していくという、組織を動かす現実的で効果的な方法について学ぶことができる1冊です。既にアルバイト・インターン実習で「働く」に触れている人にも、これからの就職活動に向けて「働く」ことを考えていきたい人にもおすすめです。医療福祉系のベンチャー企業で働いていたころに、共通の知り合いに紹介してもらって、一緒にフィールドワークに行ったりするようになった組織論の先生なのですが、有名企業や中小企業だけでなく、福祉施設などもフィールドワークの対象として研究されている、とても面白い組織論の先生です。この本の後に出版されている本はより組織体制や変革について触れられているので、興味があったら読んでみて欲しいです。
『他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論』宇田川元一著(NewsPicksパブリッシング)
3冊目:賛同できない人、好きではない人、信頼できない人との協働
『敵とのコラボレーション』
(アダム・カヘン著:英治出版)
2冊目に紹介した本は、「他者と働く」ということについて実践的な内容ですが、この本ではより大きな枠組みとして政治や国際団体、民族の和解など様々な場面でファシリテーターとして対話を担ってきた視点から対話の限界とそれを超えるコラボレーション(共同作業)の方法について述べられています。身近な友人や家族、職場の同僚や関係機関の担当者など、自分と異なる意見をもつ人と協働しなければならない場面において、「合意」ができなくてもお互いの正義を共存させながら前に進む方法について知ることができます。
『敵とのコラボレーション』アダム・カヘン著(英治出版)
4冊目:『カフェから時代は創られる』
(飯田美樹著:クルミド出版)
「天才たちがカフェに集ったのではなく、カフェという場が天才を育てたのでは」という視点で研究をすすめた著者の、カフェを通してまち、コニュニティ、人について知ることができる本です。私たちも友達と、大切な人と、仕事仲間と、コーヒーやお茶を挟んでリラックスした状態で過ごす時間がありますよね。そしてその積み重ねが関係性を深めたり、そこで投げかけた一言が相手の傷を癒やしたり、対話のなかで自分を再発見したりすることもあると思います。そんな皆さんの身近な、「カフェ」がインターネットのない時代にどんな機能をもっていたのか、別の視点から捉えてみることができます。また、この本を出版している「クルミド出版」自体も、実は東京・西国分寺の「クルミドコーヒー」というカフェから立ち上がった出版社です。カフェから生まれた出版社のカフェの本、機会があれば是非カフェで読んでみてください。
『カフェから時代は創られる』飯田美樹著(クルミド出版)
(文:社会創造学科 武貞真未)
(図書写真撮影:社会創造学科 川上洸)