大学教授に聞いてみた。
作業療法士と理学療法士って何が違うの?どんな仕事?



「作業療法士(OT)」と「理学療法士(PT)」って、どちらもリハビリに関係する仕事って聞くけど、何が違うの?と疑問に思ったことはありませんか?今回、大阪人間科学大学で作業療法学科と理学療法学科で教える2人の大学の先生に、高校生のみなさんにもわかりやすいように、それぞれの仕事の内容や違い、将来性などについて聞いてみました。




「作業療法士」と「理学療法士」ってどんな人?



それぞれ英語では、作業療法士をOccupational Therapist(通称OT)、理学療法士をPhysical Therapist(通称PT)っていいますが、セラピー(Therapy)って聞くと、アロマセラピーや心理セラピーなどを思い出す人も多いかもしれませんね? 癒しとかマッサージなどをイメージする人もいるかもしれません。でも、英語圏では「therapy」にはもっと専門的な医療的意味合いがあります。
実は「セラピー(therapy)」を日本語に訳すと、「治療」や「療法」といった意味合いがあって、手術や投薬を行わずに、人間が本来もっている力を引き出して、心や体に安定をもたらすことを目的としているのが特徴なんです。



作業療法士:日常生活の「できる!」をサポートする人

作業療法士は、病気やけがなどで「いつもの生活」がむずかしくなった人をサポートするお仕事です。たとえば、ごはんを食べたり、服を着替えたり、趣味を楽しんだりすることができるように、いろんな工夫や練習を一緒にしていきます。身体的な支援だけでなく、心の支援も行います。毎日の生活を少しでも楽しく、快適にできるよう、一人ひとりに合わせた方法で支援していきます。だから作業療法士は、その仕事の一つひとつが、人々の人生に大きな影響を与える、とてもやりがいのあるお仕事です。

理学療法士:体を動かせるようにするリハビリのプロ

理学療法士は、「人生の再スタート」をサポートする素晴らしい仕事です。ケガや病気で体が思うように動かせなくなった人々に寄り添いながら、もう一度自分の足で立ち、歩くためのリハビリを提供します。さらに、理学療法士はスポーツ選手のパフォーマンス向上にも貢献することがあります。体の動きやトレーニングの知識を活かして、選手の体調管理や怪我の予防、さらにはリハビリを通じて最高の状態で競技に臨めるようサポートします。




どんな違いがあるの?仕事内容は?比べてみた。



作業療法士のお仕事

作業療法士のお仕事は、子どもからお年寄り、からだや心の病気をもった人など、いろんな人が対象になり、日常生活の「自分らしさ」を取り戻すお手伝いをします。たとえば、料理の練習を通じて生活のリズムを整えたり、お絵かきなどを使ってコミュニケーション力を広げたりします。「日常生活や社会生活に復帰できるよう」、「自分らしく生活する力」を育てていくのが作業療法士のお仕事です。具体的には、食事、入浴、着替え、料理、家事、趣味活動、スポーツなど、日常生活や社会生活に必要な動作の訓練や指導、援助を行います。
つまり作業療法士は、単に「できるようになること」だけではなく、その人らしい生き方や楽しみを取り戻し、一歩ずつ人生を前向きに進める力を引き出すことが大切になります。



理学療法士のお仕事

理学療法士のお仕事は、患者さんの身体機能の回復・維持を目的とした「動く喜び」を取り戻すためのスペシャリストです。
病気や怪我で体を動かすのが難しくなった患者さんたちを支え、歩く、座る、立つといった日常生活に欠かせない基本的な動きを元気にしていきます。
その方法は、筋トレやストレッチ、歩行練習など、患者さん一人ひとりに合った方法で進めます。また物理療法では温熱や電気刺激などで治療を助けます。日常生活動作の練習では、患者さんが自信を持って普段の生活に戻れるようサポートします。



リハビリの方法のちがい

・作業療法士:毎日の生活に関わる活動(作業)を通じてリハビリする。
・理学療法士:身体の動きや筋肉の働きを専門的に理解し、色々な方法を用いてリハ ビリをする。




どうすればなれるの?学校や資格のちがい



資格の取り方と学ぶこと

どちらも国家資格が必要です。大学や専門学校で3〜4年じっくり勉強して、国家試験に合格すると資格が取得できます。理学療法士は筋肉や骨のことを中心に学び、作業療法士は心のケアや日常生活の工夫についても幅広く学び、「その人らしい生活」を支援する方法を深めていきます。



どんな学校を選べばいい?

作業療法士や理学療法士になるための学校には、「大学」と「専門学校」の選択肢があります。それぞれどんな特徴があるのでしょうか?

大学(4年制): 広い分野の知識を学べるカリキュラムがあり、4年間基礎から段階的に実践も交えて、じっくり学ぶことができます。また研究など、学問的な活動に力を入れているため、将来大学院に進学し、教育・研究の道を目指したい人にもおすすめです。さらに、学園祭やサークル活動など、充実したキャンパスライフを楽しめるのも大学ならではの魅力です。

専門学校(3〜4年制): 実践的な授業が多く、即戦力として現場で働ける力を身につけやすいのが特徴で、仕事に直結する現場経験を重視する人にはぴったりです。

選ぶときのポイント: 学校選びの際には、以下のポイントをチェックしてみましょう!

・実習の内容の充実度 (実習先や実習に行くまでの学習期間)
・就職サポートの充実度 (就職先一覧を確認する)
・国家試験の合格率 (国家試験対策の方法や期間)

これらの情報は、オープンキャンパスに参加して情報を得てください。卒業後、「将来どんな働き方をしたいか」をしっかり考えた上で、自分に合った学校を選ぶと、より納得のいく進路が見つかりますよ!




お給料や働き方ってどんな感じ?



作業療法士と理学療法士のお給料

作業療法士や理学療法士のお給料は、厚生労働省の調査によると、平均で年収350万〜450万円ほどといわれています。病院や施設、訪問リハビリなど、働く場所によっても違います。

どんなところで働けるの?

・病院:手術後のリハビリなど、からだやこころの回復のサポート
・福祉施設:お年寄りや障がいのある人の生活を支える
・訪問リハ:おうちに行ってリハビリをする
・こどもの施設:発達障がいなどの施設で、生活や勉強のサポート

それぞれの職場環境には、やりがいも特色もさまざま!自分に合った働き方を見つけることが大切ですね。

作業療法士・理学療法士の将来性はどうなの?

作業療法士・理学療法士はまだまだ人手不足が続いている状態です。これからもっと高齢の方が増えていくので、作業療法士、理学療法士ともに仕事のニーズは今後も高まっていくといわれています。リーダーや専門分野のプロになる道もありますよ。
さらに最近では、作業療法や理学療法の知識や技術を活かして、企業の健康経営や病気にならない体づくりなどの分野で起業をする人もどんどん増えており、これからの時代、あなたの選択肢や可能性を広げる職業として、大きな魅力を持っています。作業療法士・理学療法士は将来性抜群の職業といえるでしょう!




自分に向いてるのはどっち?チェックしてみよう!



一概には言えませんが、「自分に合っているのはどちらだろう?」と思ったときには、性格や興味を基準に考えてみるのがポイントです。これまで多くの学生たちと向き合ってきた経験から、こんな特徴を参考にしてみてください。

作業療法士が向いている人:
人とじっくり関わるのが好きな人、やさしく相手の話を聞ける人、ものづくりや遊び・工夫を考えるのが好きな人に向いています。また、「人の心にも寄り添いたい」「生活の中にある小さな『できた!』を支えたい」と思える人にぴったりです。相手の気持ちを考えながら、相手のペースに合わせてサポートすることが求められます。

理学療法士が向いている人:
体を動かすことやスポーツが好きな人、運動や筋肉に興味がある人に向いています。目に見える成果や変化を追いかけるのが好きな人にもおすすめです。「科学的に考えるのが得意」「トレーニング方法を人に教えるのが楽しい」と思える人は、理学療法士の仕事で力を発揮しやすいでしょう。体力に自信がある人にも向いています。




進路選びでよくある失敗とアドバイス



「なんとなく理学療法士の方が人気だから」「医療系=安定していそうだから」とだけで進路を決めると、あとで「自分には合わなかった」と感じることも。気になる職業があったら、オープンキャンパスや体験授業に参加して、実際に働いている人の話を聞いたりすることがおすすめです!
進路選びは、自分の未来をつくる大切なステップ。一歩一歩、しっかり向き合いながら進んでいきましょう!




まとめ|あなたにぴったりの道を見つけよう!



作業療法士も理学療法士も、人の生活や体を支えるとてもやりがいのある仕事です。仕事内容のちがいをしっかり知ったうえで、自分に向いている方を選べると、きっと満足のいく進路になりますよ!
ちなみに大阪人間科学大学は、作業療法士も理学療法士も全国平均を大きく上回る合格実績を達成しているとのこと。



詳しくは、ぜひホームページをごらんください。

理学療法学科
https://www.ohs.ac.jp/department/physical/

作業療法学科
https://www.ohs.ac.jp/department/occupational/

もっと詳しいことが知りたい、実際の授業や実習の雰囲気が知りたいなどあれば、先生たちがいつでもご連絡くださいとのことなので、ぜひオープンキャンパスや学校見学に参加されてはいかがでしょうか。